悪の根本原因は何か  

能力に見合わない欲望を抱く人は悪事を為す。そして、欲望をコントロールするのもまた能力であるから、結局のところ悪の根本原因は「無能」であろうと思っている。

ハンナ・アーレントはもっと厳しいことを言っていた。彼女は「凡庸の悪」と言った。ごく平凡な人間こそ悪になるのだと。平凡な人間の平凡な能力では悪を回避することはできないということだ。大企業の組織ぐるみの不正行為などを見れば納得できる話だ。

そう考えたときに、社会として悪に対抗するためにはどうすればいいか。ひとつは能力による階級社会をつくり、社会のゾーニングを進めること。もうひとつは直接的に無能に介入する技術的解決策があるだろう。

ゾーニングはすでに進行している。高級住宅地の小学校と貧困地区の小学校では、子どもたちの能力もモラルもまったくかけ離れている。たとえばひとつの小学校から灘中に6人も進学したところもある。いっぽうで、風呂にも入れてもらえないようなネグレクトの家庭が珍しくもないような地域もある。そんな地域の小学校の先生に聞いた話では、家庭に事情のある子どもたちは音楽の時間に歌えないのだそうだ。声が出ないのだという。学力だけでなくそういうところでも格差が開いている。日本の地域はすでにそういう状態になっているのだ。

潤沢な資源を投資して社会関係資本を蓄積している家としては、精神的にも劣悪な貧乏人とは付き合いたくないだろう。当然の心理だ。手塩にかけて育てている我が子をそんな家の子と会わせたくないだろう。格差社会になればなるほど、ますますゾーニングへの需要は高まる。中学受験ブームの一端もここにある。公立中学という環境はリスクだと認識されているのだ。

いっぽうの無能に対する直接的な介入とは、ICチップを脳に埋め込んで記憶力や計算力を強化するような方向性だ。これも需要は必ずあるのでいずれ開発されるだろう。それから遺伝子技術によるデザイナーズベイビーも有力だ。予め無能な遺伝子を排除し、有能な遺伝子を多く持つ子どもを産むことができる技術だ。生命倫理の問題はあるが、ニーズがあるものはいずれ必ず実現するだろう。これらの技術により社会から悪を減らすことが可能かもしれない。(予測不能の悪い結果をもたらす可能性もあるわけだが。)

カテゴリ: 思想

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コメント

無題

>いっぽうの無能に対する直接的な介入とは、ICチップを脳に埋め込んで記憶力や計算力を強化するような方向性だ。

外付けの方が良いと思います。

埋め込むと、それが人をコントロールする道具になる・・・

その辺は難しい・・・

ではまた。

遍照飛龍 #  | URL
2018/11/23 18:58 | edit

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