今さらイギリスのEU離脱について考える  

コメント欄で話題になったのでイギリスのEU離脱(ブレグジット)についてちょっと調べてみた。Google検索で最上位の記事がこちら。必要な論点がよく整理されていると思った。

【ゼロからわかる】イギリス国民はなぜ「EU離脱」を決めたのか (2017年1月8日付)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/50639

EUとは元々欧州地域の安全保障の枠組みだった。敗戦国ドイツを孤立させてはいけないと、フランス主導でつくってきたものだ。それに後からイギリスが参加する。しかしイギリスの思惑はフランスやドイツとは始めから異なっていた。

イギリスは島国であり軍事力も強大なので、欧州の安全保障についてさほど危機感はない。過去の大戦でも「失敗した」「間違っていた」というような悔恨の感情はない。むしろ必要な行動を取って戦争を収めたと認識している。そんなイギリスにとってEUの存在意義はあくまでも広域な自由市場だった。つまり儲かると踏んだから参入した、それだけなのだ。だから今回、移民が流入して損失のほうが目立ってきたので、「じゃあ離脱してしまおう」という世論に傾いたらしい。

「主権国家は戦争を防げない」というEU設立の前提となる価値観をイギリスは共有していなかったということだ。そういうことであれば大陸ヨーロッパ諸国は、イギリス抜きで安全保障の枠組みを構築するしかないだろう。

EUのガバナンスにも問題があったらしい。EU政府が巨大官僚組織となり、加盟各国の主権を尊重せず強引に施策を推し進めてきた。その責任が誰にあるのかも不透明だった。これでは反発を食らうのも当然だ。EU政府が統治の仕組みを改善しなければ、第二のイギリスが現れてもおかしくないだろう。

根本的な話として、EUという発想は加盟国にとって幸せなのだろうかと考えてしまう。たとえば中小企業が大同団結して巨大企業を作ればどうなるか。利益は増えるかもしれないし、これまでのライバルが皆仲間になるので、敵対心も和らぐかもしれない。つまり便益だけを考えれば大合併のほうがおそらくメリットはあるだろう。しかし中小企業の人たちがそれを望むかというと話は別だ。競争に勝てない弱小企業は合併に賛成するかもしれないが、独立してやっていける力のある会社はそれを望まないかもしれない。もし私が経営者だったらそんな大合併などに巻き込まれたくないと思う。個人にも個性があるように会社にも固有の文化がある。それがアイデンティティーであり、存在意義である。そして国にもアイデンティティーがある。EUに加盟することで独立国家としての尊厳を侵害されたと感じるようであれば、それは深刻な問題である。イギリス国民は直観的に「このままEUの下に付いていたらこの国はダメになってしまう!」と思ったのではないか。

そう考えてみると、私もなんとなくイギリスの心情にはシンパシーを感じる。私も脱サラして自由業になった身だ。自分の力でやりくりすることは大切だと思う。しかし、誰もが自由業になれるわけではないのと同様に、イギリスのような決断ができる国は限られている。イギリスにとっては離脱は正解なのかもしれないが、さてそれでいいのかという問題は残る。

カテゴリ: 社会

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